第23章 What is your dream ? #6
いつものようにカズとふたり、学校からの帰り道。
「やっぱすげぇよな大野さん」
今日、大会用の振り付けを考えてきた大野さん。まだ踊ることもまともに出来ない俺たちにもそこそこ踊れるように見える振り付けを考えてきてくれた。
『踊りの難易度は高くないからみんなすぐ覚えられると思う。今回はシンクロ度を高めて見映えを良くしよう』
そう言って教えてくれた振り付けは確かにそんな難しい物じゃなかった。
「ふふっ」
隣で突然笑う声が聞こえた。
「なに?」
「潤くん、凄く楽しそう」
「あぁ、楽しいよ?ダンスがこんなに楽しいものだなんて今まで考えてもみなかったけどな」
「良かった…」
カズがホッとしたような声を出す。
「なにが?」
「僕ね、気になってたんだ…僕のせいで潤くん野球辞めたのかなって」
そうだよな…強豪校から誘いがあったのはカズだって知ってたんだ。それなのにそれを断ってカズと同じ高校に来たってことはカズにしてみれば責任を感じてもおかしくはない。
「そんなことないから、野球辞めたのは俺の意志…カズのせいじゃないよ?」
「うん、雅紀にも言われた…でもね、小学生の時、一緒にプロ野球選手になろうって言ってくれたでしょ?だから僕がその夢こわしちゃったのかなって…」
カズ、覚えててくれたんだ…でも俺の夢はプロ野球選手じゃなくてずっとカズと一緒に居ることなんだよ。
「カズが一緒じゃなきゃ意味ないから…」
「え?」
カズが俺を見上げた。
「だから俺の夢は『カズと一緒に』って所がポイントなの、カズが一緒じゃなきゃ意味がない…俺はカズとずっと一緒に居たいんだ」
そう言ってカズに微笑みかけるとカズは頬をピンクに染め俯いた。
「え、と…僕も潤くんと一緒に居たいよ…」
「それってどういう意味で?」
「どういう意味って…」
「俺はカズを誰にも渡したくない」
そう言ってカズの手を握った。ビクッと震えたカズ。
「…ごめん、僕、よくわからない…」
そう言いながらも耳を紅く染め、繋いだ手を振りほどかずに握り返してくれた。
期待してもいい?カズ…