第3章 second love
「でも和に誕生日のお祝いに全部奢るって言ったし…」
「もう翔ちゃん、ごちゃごちゃ言わない
誕生日プレゼントはここの入場券だけで充分だよ
大野さんからやっと返事貰えたんでしょ?
ふたりで色々話すことあるんじゃないの?」
そう言って大野さんを見ると恥ずかしそうに頬をピンクに染めてて…
可愛らしいな…ふたりとってもお似合いだよ
「ほら翔さん、和もこう言ってるし」
「分かった…ありがとう和」
笑顔を見せる翔ちゃん…
「こちらこそプレゼントありがと」
翔ちゃんに笑顔で答えた。
「潤、和の事よろしくな」
翔ちゃんは潤くんの方を見ると真剣な眼差しを向けた。
「うん、任せて」
潤くんも真剣な表情で答えた…
「じゃあまたな、和。楽しんでこいよ?」
翔ちゃんは俺の頭を撫でてから大野さんに向き直り
「行こうか、智くん」
「あ、ちょっと待って」
大野さんはそう言うと俺のところに来て耳元で囁いた…
「タイミング逃すと俺みたいになっちゃうからね…
和くん、俺と似たタイプだからさ」
大野さん?
大野さんは俺に向かって微笑んだ後、翔ちゃんの元へと駆けていった。
ふたりの背中を見送っていると
「大丈夫?和…」
潤くんを見ると俺の事を心配そうな顔で見ていた。
「そんな顔しないで、俺は大丈夫だよ?」
俺は笑顔で答えた。
「ショックじゃないのか?」
「全然、大学入ってすぐの時はショックだったけど、
今思えば大好きなお兄ちゃんを取られる気持ちだったのかな…」
「そっか…俺まだまだ翔さんには勝てないな…」
「え、なんで?」
「翔さん俺が和の事好きなの知ってるって言っただろ?
でさ、俺は和が翔さんの事好きだと思ってたから大学に入ってから翔さんに言ったことあるんだ」
「何を?」
「もし智さんに告白するならその前に和の事なんとかしてやれって
じゃないと和が傷つくからって…
そしたら翔さんがさ、『前の和だったらそうしたけど今の和には必要ない』って言ったんだ
俺その時は意味が分からなくて…
翔さんには分かってたんだな、和の心の変化が」