第22章 What is your dream ? #5
「『好きなのは雅紀じゃない』?それって他に好きな人がいるってこと?」
翔くんはハッとした表情をしたあと、気まずそうに俺から視線を逸らした。
それっているって認めたようなもんだよね?しかも相手は男?
普通、男の名前を出されたらまず男って事を否定するだろ?なのにそこは否定しなかった。
「俺の知ってる人?」
俯いたまま何も答えてくれない。
「まさか岡田とか言わないよね?」
俺が知ってる中ではアイツが一番怪しい。
少なくともこの学校の中では翔くんはそんな素振りを見せたことがないから。
好きな人がいるとすれば学校の外の人間だと思った。
「違うよ…」
小さな声でも否定してくれたことにホッと一安心…
もしアイツを選んだとしたらアイツに会わせたことを死ぬほど後悔しただろう。
「じゃあ誰?翔くんその人と付き合ってるの?」
俯いたまま首を横に振る翔くん。
「付き合ってない……たぶんそれは無理だから…」
「なんで?」
翔くんのことをフルなんて、なんて勿体ないことを…
「…だって、その人俺の事そんな風に見てくれてない…仲の良い友人としか思ってないよ…」
翔くんがソイツに告白しないなら俺にもチャンスある?
「だったら俺と付き合って?」
「へっ⁉」
驚いて顔を上げた翔くん、まん丸おめめが更に見開く…
そりゃそうか、友達から告白されたんだもんな…でももう引けない、ここまで言ったら最後までちゃんと気持ちを伝えなきゃ後悔する。
「俺初めて会った瞬間に翔くんに一目惚れしてた…」
「え?あ、嘘、でしょ?」
「嘘じゃない、本気だよ?今日だってずっと機嫌が悪かったのは嫉妬してたから」
「嘘だぁ…」
今にも泣き出しそうな顔をする翔くん…やっぱり駄目か…
「ごめんな変な事言って…困るよな?でもさ、言わないままずっとモヤモヤしてるなら言ってフラれた方が良いのかなって思ったんだ」
そう言った瞬間、翔くんが俺に抱きついてきた。
「違うっ…俺も智くんのこと、好きっ!」
「へっ⁉」
今度は俺が驚く番だった。