第22章 What is your dream ? #5
雅紀はふたりの友人を連れて見学に来た。
俺が踊るのを見た後、入部しようかな?なんて言うもんだから、翔くんが嬉しそうに雅紀の手を握った。
俺はまだ翔くんの手に触れたこともないんだぞ?
イライラが隠せない…なのに事もあろうか入部を決めた雅紀に対し翔くんは抱きついたんだ。
はぁ?なに?翔くんはやっぱり雅紀の事が好きなの?だからダンスに勧誘した?
俺は部にすることなんて望んでなかったのに、翔くんがやたらと部にしたがるからだったらいいか、って認めたのに…
翔くんが俺の踊る姿を褒めてくれたからいくらか気持ちも持ち直したけどさ。
3人が帰っていった後、翔くんが不安そうな顔をして俺に聞いてきた。
「そんなに嫌だった?部になるの…」
嫌なのは部になることじゃない、翔くんと雅紀が仲良くすること。
「嫌じゃないよ…なんで?」
「だって、ずっと不機嫌そう…」
そりゃそうだろ、翔くんが雅紀に抱きついたりするから。しかもその後もずっと嬉しそうに話してるし。
こうなったら伝えるしかない、俺の気持ちを…
これで翔くんとの関係が終わりになるのならそれでもいい…だって翔くんと雅紀が仲良くする姿を近くでなんか見ていられないから。
もし翔くんが雅紀を選ぶと言うなら俺は翔くんから離れよう、そう覚悟して話始めた。
「あ~、だってそれは翔くんが雅紀と仲良くしてるから」
「へ?仲良く?俺、してないよ」
「してたでしょ?手握ったり、抱きついたりして」
「あれは嬉しかったからつい…」
「ふ~ん、翔くんは嬉しいと誰にでも抱きつくんだ…」
「誰にでもって訳じゃないよ…」
「じゃあ雅紀の事が好きなの?」
そう聞くと翔くんは慌てたように首を振った。
「違うよ!俺が好きなのは雅紀じゃない!」