第22章 What is your dream ? #5
岡田とのダンスバトルが終わり、勝敗を聞く為に翔くんの姿を探すと翔くんは涙を流し呆然と立っていた。
吃驚した俺は急いで翔くんの元へ向かった。
「翔くん、どうした?」
「なにが?」
翔くんは自分が泣いてることに気付いていなかった。俺の後ろから来た岡田が
「勝敗聞くまでもないね」
苦笑いを溢してる。
「なんでだよ?」
「だって大野のダンス観て泣いたんだろ?さっき俺が踊ったときは泣いてなかったもん」
え、俺のダンスを観て泣いた?
翔くんは俺のダンスを観ていて胸が苦しくなったって言った。
岡田は競いたかったのは技術じゃないと言った。
岡田の目的は翔くんがどちらのダンスに惹かれるかを知ることだった。
翔くんが俺のことをどう見てるのかはわからない、でも少なくとも俺のダンスに心動かされたってことだよね?
俺が翔くんの心を動かすことが出来きたんだ。
それがわかっただけでも岡田には感謝だな。
その日わかったことはそれだけじゃなかった。
朝、女性に声を掛けられた事といい、岡田に狙われた事といい、翔くんがモテるということが判明した。
わかってはいたさ、あんだけ可愛いんだから。
学校の奴らだって男女問わず翔くんのことを好きになる人はこの先出てくるだろう。
そう思ったら気が気じゃなくなった。
いきなり告白して嫌われるのは避けたい…じゃあどうすればいいんだ?
とにかく今は出来るだけ翔くんと一緒に居て翔くんのことをより知ることだ。
学校以外の生活なんてなんも知らないもんな。
居ても経ってもいられなくなった俺は翔くんと一緒の時間を過ごすべく『宿題を教えてなんて』翔くんが断らなそうな理由をみつけ翔くんを誘った。
すぐにオッケーの返事を貰い、翌日図書室で会うと今度は翔くんからありがたい申し出があった。
「もし良かったらこれからも勉強教えるよ?俺、毎日ここで勉強するからわからないときはいつでもここに来て?」
そんな嬉しいお誘いに乗らないわけないだろ。
残りの夏休みは図書室で勉強をやり、終わってからはダンスを踊る。
通常の学校生活よりも長い時間翔くんと過ごすことが出来た。
最高だぜっ、夏休み!