第21章 What is your dream ? #4
その後も他の人たちから誘われ智くんは何人かとダンスバトルをやった。その度に俺の心臓はドキドキと鳴る。
そのドキドキは家に帰ってからも止まらなかった。智くんのことを思い出すとダンスを観ていた時と同じように胸がキュッと締め付けられ苦しくなる。
なんなんだよ、これ…俺どうしちゃったんだ?
そんな状態が続く日々、答えが出せずにいるとまた智くんから連絡が来た。
『宿題でわからないところがあるから教えてくれない?』
『いいよ、いつがいい?俺はいつでもいいよ』
『じゃあ明日、朝から図書室に行ってるから都合がいい時間に来て』
『わかった』
明日智くんと会える、それだけで嬉しくて顔が緩む。
翌朝、一刻も早く智くんに会いたくて図書室が開放される時間に合わせ家を出た。図書室に着くと智くんは既に来ていて俺に気付くとふにゃんと笑った。
その笑顔を見てドキッとした…俺の心臓がまた煩く鳴り響く。
わかったよ、なんで胸が苦しくなるのか…ダンスしてる智くんに惹かれてたんじゃない、『大野智』という人間に惹かれてたんだ。
俺、智くんのこと好き…なんだ。
こうしてドキドキの原因はわかったけど、だからといってその事を智くんに伝える訳にはいかない。それどころか智くんにバレないようにしないと。
折角仲良くなれたのに、嫌われたくない…俺は智くんと一緒に高校生活を送れればいい。
それからは自分の気持ちが溢れ出さないように気をつけた。
一緒に踊ったり、雨が降って踊れない日は一緒に図書室で勉強したりと、とにかく毎日智くんと一緒に居られるだけで良かったんだ。