第3章 second love
「あ、和見て、イルカがバスケしてる」
プールを見るとイルカが器用にボールを運びバスケットゴールに次々とシュートを決めてた。
「潤くんみたい…」
「え?」
「高校の球技大会でバスケやったときあるじゃん
あの時の潤くんもいっぱいシュート決めてさ、スッゴいカッコ良かった」
「そんな事あった?」
少し頬を赤らめる潤くん。
「あったよ…」
そう、高校2年の時。あの時の潤くんは今のイルカたちの様に華麗にシュートを決めてた…そんな潤くんがキラキラして眩しくて、俺なんかが近付けるような人じゃないんだって思ったんだ。
翔ちゃんがいたから俺は潤くんと話が出来ていただけで翔ちゃんがいなくなればただの顔見知り程度の付き合いなんだって思った。
それから自然と潤くんと距離を取るようになって…
大学に入ってからも翔ちゃんがいるときは話をするけどいなくなればまたただの顔見知りに戻る。
その方が傷つかないですむと思った…『俺とお前は友達じゃないんだよ』って潤くんに言われる前に離れようとした。
潤くんはそんな事言う人じゃないのに…俺が自分に自信がないだけなのに…
自分から距離をとった癖に潤くんを見つけると目で追って、潤くんを囲んでる人たちを羨ましく思ってた。
俺もあの輪の中に入れたら…
あぁ、そうか…俺が今日翔ちゃんを見てもなんとも思わないのは俺の目が今は違う人を追いかけてるからなんだ…
でも、今更この人になんて伝えればいいんだろう。
『もう翔ちゃんの事は好きじゃない』?
潤くんの気持ちを知った後にそんな事言ったら都合のいい奴って思われるかな…