第19章 What is your dream ? #2
カズは小学校の頃はそこそこ背が高かった。
俺は常にカズよりも低く早くカズの事を追い越したかった。
それが叶ったのが中学2年の夏。
俺はメキメキと身長が伸び、カズの事を追い越した…までは良かったんだけど、カズの身長が伸びてこない。
野球をやるには不利な体型…俺的には何の問題もないんだけど、そのせいでカズはプロ野球選手への道を諦めた。
カズが野球を辞めるなら俺も続ける意味はない、強豪校から何校か誘いはあったが、カズと一緒にいる為に始めた野球…野球の為にカズと別れたら本末転倒な話だ。
すべての話を断りカズと同じ進学校への受験を決めた。
親も勿論反対はしなかった。
「そう言うと思った。でも相当頑張って勉強しないと難しいわよ?」
なんて母さんには笑われたけど。必死で勉強して何とか合格圏内に入れた。
カズには内緒にしてて、受験当日の朝、カズを迎えに行くと凄く驚いた顔をされた。
まぁ、当然だよな…今までの俺の成績を知ってたらとてもじゃないが合格するとは思えない。
でも、『カズとずっと一緒にいる』という俺の夢の為に俺は野球の時以上に頑張ったんだ。
そんなこんなで無事カズと一緒に高校合格。俺の夢は続いてる。
高校に入ってからは俺が毎朝カズを迎えに行くようになった。
知らない奴らとの新たな出会いが増えるんだ、気をつけてカズを見ていないとカズを誰かに取られたら今までの俺の苦労が水の泡になる。
だから入学式当日、雅紀を紹介された時はほんと焦った。
「新しく出来た友達」
なんて言いながらすっげぇ嬉しそうな顔をしたから。
よくよく話を聞いてみると雅紀も中学の時野球をやっていてたとか。
俺たちの事を知っていて声を掛けられ意気投合したとのこと。
雅紀にその気が無いことがわかってホッとした。