第3章 second love
夕べ翔ちゃんに誘われた時は翔ちゃんと一緒にいられると思うと嬉しかったし、大野さんが一緒って聞いた時はちょっとがっかりしたんだ…
なのに、なんでだろう…朝大野さんが助手席に座って翔ちゃんと楽しそうに話しててもここに着いてからずっとふたりが並んで歩いてても寂しいとか悲しいとかマイナスな感情は一切感じない…
それどころか興味がなかった水族館を意外と楽しんでいる。
俺、もう翔ちゃんの事好きじゃないのかな…
「…分かんない」
ボソッと呟いた。
「和?」
「分かんないよ…俺、ずっと翔ちゃんの事好きだったのに…」
自分の気持ちが見えなくなった…
「ごめんな、急に…ただ最近和と話す機会減ったからなかなか伝えるチャンスが無くてさ
だから今日翔さんに和連れてきてってお願いしたんだ…」
「翔ちゃんも知ってるの?」
「何を?」
「潤くんがその…」
「俺が和を好きなこと?」
はっきり言われてまた顔が熱くなる。
「…うん」
「翔さんは高校の時から知ってるよ」
「そんな前から?」
「うん、すぐにバレた…ってかさぁ、俺が翔さんに近づいたの和の情報知りたかったからなんだよね」
「は?」
「あの頃って和、翔さんにくっついて歩いてたじゃん
だから翔さんに近付けば和のこと分かるなって…」
「そんなの直接聞けばいいじゃん」
「出来なかったんだよ、当時は…」
「…なんで?」
「…初恋なの」
「え?」
聞き間違え?潤くんが高校で初恋って…遅くない?
思わず振り返ってしまったらすぐに目の前に紅くなってる潤くんの顔があった。
「だから、初恋なんだよ…俺にとって和は。何をどうしたらいいか分からなかったんだ…」
恥ずかしそうにゆっくりと離れていく潤くん…
「…マジで?」
「マジで。だからまだ初恋継続中なの、俺」