第3章 second love
暫く4人で水族館の中を回っていたんだけど、大野さんが大水槽の前から動かなくなったから潤くんとふたりで他の場所を見て歩いた。
「大野さんてほんとに魚好きなんだね」
「うん、あの人釣りもやるから」
「へー、そうなんだぁ」
「和はゲーム以外に好きなものないの?」
「ん~、無いかなぁ」
「ははっ、そっか。でもそれで良く今日来てくれたね?」
「まぁ、たまにはいいかなぁって」
翔ちゃんといたいからとは言えなかった。
「和はどこだったら来てくれるかなぁって考えたんだけど分からなくてさ…
乗り物弱いから遊園地駄目だし、動物あんま得意じゃないって言ってたから動物園も駄目だろ?映画じゃ折角会ってるのに話も出来ないし和の顔も見れないし」
「顔見れないって別に良くない?」
「良くないよ、和の顔見たいもん」
潤くんが真剣な顔で言うから恥ずかしくなった。
「俺の顔なんて見ても面白くないよ…」
「俺、和の顔好きなんだよね」
「え?」
「高校の入学式で初めて見た時、マジ可愛いと思った」
「男に可愛いってどうなの?」
恥ずかしくて顔が熱くなった…
潤くんに顔を見られたくなくて、張り付くようにして水槽の中を覗いた。
そしたら潤くんは背後から手を伸ばし俺を覆うように水槽に手を付いた。
「男とか関係なく和は可愛いよ」
俺の耳元で囁く潤くん。
「っ!?なに言って…」
「あの日から俺、ずっと和の事しか見てない…
和が翔さんの事しか見てなかったように」
潤くん知ってたの?俺が翔ちゃんの事好きだってこと。
「ねぇ、和は今でも翔さんの事好きなの?」
核心を付かれてドキッとした…
今でも翔ちゃんが好き?そんな事当たり前じゃん…
でも、何でだろう…今日大野さんと一緒にいる翔ちゃんを見てもなんとも思わないんだよな…
それどころかあのふたりいつになったら付き合うのかな、なんて考えてる自分がいた。