第18章 What is your dream ? #1
潤くんは強豪校からの誘いを断り、僕と同じ高校を受験した。
そして僕の隣には今も潤くんがいる。
「カズ、おはよ!」
高校に入って以前と変わったこと…それは朝、潤くんが僕の迎えに来るようになったこと。
「おはよ、潤くん」
いつものようにふたり並び、登校するために駅に向かった。
そしてもうひとつ、高校に入って変わったこと…それは潤くんがやたらと女子たちに声を掛けられるようになったこと。
まだ入学して1週間しか経ってないのに電車の中でも、学校の中でも潤くんは女子たちの注目の的だった。
野球を辞めて坊主もやめた。元々良かったルックスが更に磨かれた感じだ。背も更に伸びて170センチを越えた。
「松本くん、おはよ~」
キャピキャピした女子たちが潤くんに次からの次へと挨拶しに来る。
潤くんは無愛想なんだけどそれでも全員に「おはよ」と応えてあげてる。やっぱり相手が誰であろうと挨拶は大切だもんね。
ぶっきらぼうに挨拶を続ける潤くんが可笑しくてクスクス笑っていたら潤くんに気がつかれた。
「ナニ笑ってんだよ?」
「面倒臭そうなのにちゃんと挨拶するんだもん」
「しょうがないだろ?小さい頃からそうしつけられてきたんだから」
「まぁね、野球の基本は挨拶からだから」
「はぁ~、なんだって次から次へと沸いてくるんだよ」
「みんな潤くんと話がしたいんだよ、いいじゃんそれだけモテるってことなんだから」
「…別に嬉しくねぇし…」
「またまたぁ、モテて嬉しくない男子なんていないでしょ?それともなに?誰か心に決めてる人でもいるの?」
そんな様子を見せたことない潤くん…からかい半分でそう聞いたのに…
「…いるよ」
潤くんは照れ臭さそうにそう告げた。