第18章 What is your dream ? #1
僕たちは何をするのも一緒だった。
小学4年の時、前から興味のあった野球を始めることにしたときも…
「ごめんね潤くん、僕野球のチームに入ることにしたから今までみたいに潤くんと遊べないんだ」
「えっ⁉カズ野球やるの?だったら俺もやる」
その頃の潤くんは相変わらず俺よりも体が小さく可愛らしい顔をしていたけど、いつの間にか僕のことを『カズ』と呼ぶようになり、自分のことは『俺』って言うようになっていた。
「潤くん、野球に興味あったっけ?」
「ううん、今はない…けどカズがやるなら俺もやる」
「そんな簡単に決めて大丈夫?結構キツいよ?潤くん体小さいし大変だと思うんだけど…」
「大丈夫だよ!カズが頑張るなら俺も頑張るから」
潤くんはニカッと男の子らしい笑顔を見せた。
「カズはやりたいポジションあるの?」
「ん~、やっぱりピッチャーかな?僕サウスボーだし」
「サウスボー?」
「左投げのこと」
「そうなんだぁ、じゃあ俺はキャッチャーだな」
「え?なんで?」
こんな可愛らしい潤くんがキャッチャーなんて無理だよ…
体力的に一番キツいポジションなのに。
「なんで?カズが投げるなら受け止めるのは俺しかいないでしょ?」
自信満々に言ってるけどそんな簡単なことじゃないよ…
正直言うと潤くんにキャッチャーは無理だと思ってた。体が小さすぎる。
それなのに潤くんは持ち前の運動神経の良さと、ガッツが認められ5年生の時には6年生を差し置いてキャッチャーとしてレギュラーを勝ち取った。
そして、僕はチームのエースとして潤くんとバッテリーを組み6年生の時には地区大会で優勝した。
「カズ、一緒にプロ野球選手になろうな」
表彰式で隣に立つ潤くんがニカッと笑ってそう言った。その時から僕の夢は『潤くんと一緒にプロ野球選手になること』になった。