第3章 second love
水族館に着くと翔ちゃんがチケットを買ってくれた。
お金を払おうとしたら
「いいよ、和もうすぐ誕生日じゃん。今日は全部奢るよ」
「え?いいの?」
「一応社会人だから、これくらいは大丈夫だよ」
翔ちゃんは頭を撫でて優しく微笑んでくれた。
「ありがと」
「いえいえ、どういたしまして」
「翔さん、俺も奢って」
「お前は自分で払え」
「なんで~?」
「お前は誕生日じゃないから」
「なんだよ、ケチ!」
「なんだと?ここまで誰が車出したんだ」
「…すみませんでした」
頭を下げる潤くん。
「分かればいいよ」
「ふふっ」
翔ちゃんと潤くんのやり取りが可笑しくて思わず笑ってしまった。
「可愛い…」
小さな呟きが聞こえた。
「え?」
潤くんを見ると目が合って顔を赤くする潤くん…
「あ、いや、何でもない…」
慌てて目を反らす潤くん…
「?」
「ほら、行くぞ」
先に歩き出した翔ちゃんと大野さんが振り返って俺たちを呼ぶ。
「あ、待って。行こ、和」
潤くんが俺の手を握り走り出した。
握られた手が恥ずかしい…
大学生の男同士で手繋ぐとかあり得ないから。
でも、強く握られたその手を振りほどくことは出来なくて…
ふたりに追いつくと潤くんの手が離れていった…
顔が熱く感じるのは走ったせい?
前を歩く翔ちゃんと大野さん…
ふたりの距離は凄く近いのに…ふたりとも優しい顔でお互いを見てるのに何で付き合わないんだろ?
翔ちゃんが大野さんを好きなのはすぐに分かったよ…
そして大野さんもたぶん翔ちゃんの事…
なのになんで?なんでいつまでもそんな関係続けてるの?