第17章 メガネの向こう側
翌日、報告とお礼を兼ねて、相葉ちゃんに会いに学校へ顔を出した。
「いや~、よかったよかった」
美術室で相葉ちゃんとふたり、相葉ちゃんが淹れてくれたコーヒーを飲みながら、昨日のことを話した。
「ありがとな、相葉ちゃんのお陰だよ」
「いやいや、大野が頑張ったからだよ」
相葉ちゃんが優しく微笑んでる。
「でもさ、相葉ちゃんが翔さんのこと、モデルで連れてきてくれなかったら、何も始まらなかったよ」
「それはそうだな。
じゃあ、俺のお陰だ。俺のこと敬え」
「ははっ!なんだそれ?急に態度変えるなよ」
「いいじゃん。大野が将来大物アーティストになって取材受けたらさ、俺のこと『尊敬する師』ですって話してよ」
「随分、先の見えない話だな。
大体、俺が思ったような道に進めるかわからないだろ?」
「そんなことないよ。大野なら、必ず目標達成するって。近くに力強い応援団がいるんだから」
「まあ、頑張ってみるよ」
「うんうん」
相葉ちゃんが嬉しそうに頷いた。
「で?今日は翔ちゃんと会う約束してんの?」
「うん。相葉ちゃんの所に顔出すって言ったら、美術室に来るって言ってた」
「そうなんだ。あんま見せつけんなよ?」
「自分だって、ニノとイチャイチャしてんじゃないのかよ?」
「ん~、ソコソコ?」
「ソコソコってなに?なにか問題あるの?」
相葉ちゃんが急に真面目な顔をすると、俺の近くに顔を寄せた。
「大野さぁ…翔ちゃんとシタ?」
「シタ?何を?」
「エッチ…」
「す、するわけないだろっ⁉なに言ってんだ、あんた⁉」
「え~、そうなの?だって翔ちゃん経験者じゃん。
流れでそのままシタのかなって」
「しねぇわ!」
昨日は、あの後翔さんを家まで送って、そのまま別れた…キスだって、まだしてないんだぞ?