第17章 メガネの向こう側
卒業式から2週間が過ぎ、待ちに待ったコンクールの結果が来た。
『大野やったな…入選したぞ、おめでとう』
携帯の向こうから聞こえてきた、相葉ちゃんの嬉しそうな声。
「ありがと」
『一週間後から作品展示されるって』
「これで、久しぶりにあの人に会える」
『良かったよ。卒業式終わってから、ボーッとしてること増えちゃってさぁ…
俺にはどうにも出来ないし』
「悪かったね、心配掛けて」
『まぁ元々俺の友人だし。お前と翔ちゃんのキッカケ作ったの俺だしな?』
「そう言われればそうだな。
ほんと、ありがと相葉ちゃん」
『いやいや、俺こそありがとう。翔ちゃんを救ってくれて』
「まだ救えてないけどな?」
『ははっ!そうだった。
でも大丈夫だろ、あの様子なら』
「そうであって欲しいけどねぇ…」
『この2年間、難攻不落だったからなぁ…
頑張れよ?お前に頼まれたことは、ちゃんと伝えたから』
「サンキュ、相葉ちゃん」
電話を切り、携帯を机の上に置くと、ベッドの上に横になった。
決戦は来週。
作品が展示されたら、あの人を連れて見に行く。
俺の気持ちが込められた作品…あの絵を見て、あなたはどう応えてくれるだろう。
まだ逃げようとするかな?
それでもいいさ…俺は、ただ追いかけるだけだから。