第17章 メガネの向こう側
描きあげた絵を提出し、俺は卒業式を迎えた。
櫻井は俺を避けるようにしてるけど、たまに視線が合うと慌てたように視線を外す。
そんなわかりやすい行動取ってて、よく「好きじゃない」なんて言えたよな?
でも、そんな櫻井を、年上なのに可愛いと思うんだ。
式が終わり、相葉ちゃんに挨拶をしようと、ニノと美術室へ行った。
「相葉センセ、お世話になりました」
そう言って、相葉ちゃんに向かって頭を下げる。
「なに⁈今更『先生』なんて気持ちわるっ」
相葉ちゃんは、笑って言った。
「最後くらいちゃんと挨拶しないとな?」
「最後じゃないだろ?
コンクールの結果もまだ連絡来てないし、これからは恋人の友人として付き合うことになるんだから、な?カズ?」
相葉ちゃんがニノに向かってそう聞くと、ニノは嬉しそうに頷いた。
「卒業してもさ、俺と友達やめるわけじゃないんだろ?」
「しゃあねぇなぁ…友達でいてやるよ」
「可愛くないねぇ、その言い方。相談のってやったのに」
「冗談だよ、ニノ…ありがとう。お前にも、相葉ちゃんにも感謝してる」
「智、頑張れよ?ここが踏ん張りどころなんだからね?」
ニノが真剣な顔をして俺を見た。
「うん、わかってる」
あの人の気持ちが少しでも俺にあるのなら、絶対引かないから。
「俺、櫻井先生のところ行ってくる」
美術室を出てふたりと別れ、櫻井を探した。
職員室には居ないようだったから、校舎内を宛もなく探したが櫻井が見つからない…
いったいどこへ行ったんだ?
まさか、もう帰ったとか言わないよな?