第17章 メガネの向こう側
「俺の視線の意味がわかってて、迷惑なら無視してればいい。卒業まで相手にしなければ良かったんだ。
でも無視出来なかったんだろ?先生の中に揺れる想いがあるから…
先生は、自分で自分を縛り付けてるだけだよ。亡くなった恋人を忘れちゃ駄目だって」
「そんなことない!」
「ほら、むきになった。図星なんだろ」
「もう止めろ!止めてくれっ!」
櫻井の瞳からまた涙が溢れた。
「お願いだから…俺に、お前の人生に傷を付けるようなマネさせないでくれ…」
涙を流しながら、すがるような眼差しで俺を見る。
「俺は、大切な生徒の人生の重荷にはなりたくない…
お前には輝かしい未来が待ってるんだ。
お前の未来に、俺は必要ないんだよ…」
苦しそうな表情浮かべて、なに言ってんだよ…
眼鏡をしてないあなたの瞳は、全てを語ってるじゃないか。
「必要か必要じゃないか、それを決めるのは先生じゃない。俺だよ」
俺があなたを救う…俺があなたに手を差しのべるって決めたんだ。
「目標を持ってる奴を応援してくれるんだろ?」
「…しない」
「人の意見は尊重するんだよな?」
「…しない」
「先生、俺のこと好きだろ?」
「…好きじゃ、ない」
あなたの頑なに凍りついた心、絶対俺が溶かしてやるよ。