第17章 メガネの向こう側
「まぁ、智に聞くまでもなかったけどね」
「聞くまでもない?」
「うん。だって、智わかり易いんだもん」
「え…そんなわかり易い?」
「わかり易いよ~。智の表情見ただけでわかったし」
「表情?」
「そう、表情…始めはさ、モデルとしてよく見ようとしてるのかなぁって思ってた。
でもスッゴい優しい目で見るから、『あれ?』ってなって、で、ときどき、スッゴい苦しそうに見てる…
だから、智は翔ちゃんのこと好きなんだな、って思った」
「俺、苦しそうな顔してる?」
「してるよ」
ニノが苦笑した。
俺、苦しそうな顔してたんだ。
「やっぱり、翔ちゃんの元カレのこと気になる?」
「そりゃ気になるだろ…
幸せな時に死なれたんだ。絶対、忘れられない人になってんだろ…
それに、笑顔までなくしてんだぞ?」
「でもさ、相葉ちゃんも言ってたけど、先に進んでいいんじゃないかなぁ。
まだ24才でしょ?この先、ずっとひとりでいるなんて、寂しすぎない?」
「時間が経てば、忘れていくんじゃないか?」
「智はそれをずっと待つの?それとも、翔ちゃんのことを諦めるの?」
待つ?諦める?
そこまで考えてなかった。
櫻井のことを好きなことは認める…
でも、その先のことなんて考えてなかった。
「智…あと2ヶ月で、俺たち卒業するんだよ?
このまま、何もせずに卒業して、ただの片想いで済ませられるならそれでもいい…
でも、何年後かに、誰かの隣で、翔ちゃんが笑ってる姿想像してみ?
よかったね、って笑って祝福できる?」
誰かの隣で櫻井が笑ってる?
俺が見たいと思った櫻井の笑顔を、誰かが独占してる?
そんなの…笑って祝福なんか出来るわけないだろ。