第17章 メガネの向こう側
翌日も櫻井は約束通り美術室に来てくれた。
「あれ?相葉先生は?」
今日はまだ相葉ちゃんは姿を見せていなかった。
「まだ来てないです」
「そっか…でも約束は30分だから始めさせて貰うぞ」
櫻井は俺が用意しておいた椅子に座ると昨日と同じようにグランドを眺めてた。
俺は早速昨日の続きを描き始めるといつもの様に俺の隣に座っていたニノが珍しくゲームをやらずに櫻井に話し掛けた。
「ねぇ櫻井センセ…先生って相葉ちゃんのこと中学生の頃から知ってるんでしょ?相葉ちゃんの昔ってどんなだったの?」
「相葉ちゃんじゃなく相葉先生な?…相葉先生は今と変わらないよ…いつも笑顔で明るくて、少しお節介で強引な奴」
やはり表情は変えずに淡々と話す。
「ふ~ん…彼女とかは?いたの?」
「いたよ…明るいし、見た目も良いし、人が良いから来るもの拒まずだったし…ただちょっと、というかたいぶ天然なところがあるから付き合っても『疲れる』って言って離れてく子が多かったな」
「『疲れる』?はぁ~わかってないなその人たち…そこが相葉ちゃんの魅力なのに」
櫻井の眉が少しあがった。
「へぇ意外だな…二宮みたいになんでもそつなくこなす奴はああいった天然タイプ苦手かと思ったのに」
「なんで?あんな面白い人いないでしょ?」
「面白い、か…成る程ね…そういえば二宮は美術部じゃないよな?なんでいつもここに居るんだ?」
「え?あ、暇だから…俺も大学決まっちゃってるし家に帰ってもやることないし」
「で、ここに居て暇潰ししてるんだ…ゲームなんてどこに居たって出来るのに」
「…悪いかよ」
「いいや…この部屋は相葉先生の管理だからな、相葉先生が何も言わないなら俺が口を出すことじゃない」