第17章 メガネの向こう側
「ねぇ、ふたりって昔から知り合いなの?」
俺と同じことを思ったのかニノが相葉ちゃんの方を見て問いかけた。
「うん、中高と一緒の学校だったんだ…大学は違うんだけどたまにつるんで遊んでたよ」
「へぇ、意が~い」
ニノが少し驚いたような表情をしたけど、何となくわかる…明るい相葉ちゃんとクールな櫻井が仲良くしてるイメージが沸かないんだろ?
それにさっきから相葉ちゃんが櫻井の事を『優しい』って言ってるんだけど櫻井から優しいオーラを感じたことなんてない。
「昔話はどうでもいい…やるならとっとと始めてくれ、時間の無駄だ」
ホラな?こんな櫻井のどこが優しいんだ?
櫻井は歩き出すと椅子をひとつ持ってきて座った。
「あぁごめんね、翔ちゃん」
「だから生徒の前で翔ちゃんは止めろ」
「はいはい、櫻井センセ」
冷たい態度をとる櫻井に対して笑顔を見せる相葉ちゃん…もしかして相葉ちゃんの感覚がおかしいのか?
相葉ちゃんは自分のスケッチブックを用意すると椅子に座った。
「ほら大野、時間なくなるからお前も早く準備しろよ」
「あ、はい…」
慌てて椅子に座わりスケッチの準備をする。
「二宮も描いてみるか?」
相葉ちゃんがニノに声を掛けたけどニノは手のひらをヒラヒラと振り
「俺はいい、絵に興味ないんで」
そう言いながらポケットに手を突っ込むとスマホを取りだしゲームを始めた。
「全くお前は…」
相葉ちゃんは呆れたようにそう呟いたけど表情は優しく微笑んでいた。