第17章 メガネの向こう側
暫くするとキュッキュッっという足音と共に相葉ちゃんの声が響いてきた。
「いいからちょっと手伝ってよ」
「何するの?俺そんなに暇じゃないんだけど」
「一時間、いや30分でいいからさ、困ってる奴を助けると思って…お願いっ!」
「はぁ、もうお前の強引さには慣れたよ…30分だけだからな?」
「ありがと~、翔ちゃん」
「学校で翔ちゃんは止めろ」
「はい、櫻井センセ…お待たせ連れてきたよモデル」
相葉ちゃんの横に並び教室に入ってきたのは櫻井だった。
「え?モデル?…やっぱり失礼させてもらう」
櫻井が振り返り足を一歩踏み出した瞬間相葉ちゃんの手が櫻井の腕を掴んだ。
「え~、さっきオッケーしてくれたじゃん」
「モデルなんて聞いてない」
「ただ座ってくれてればいいんだよ」
「30分もただ座ってるなんて時間が勿体ない、悪いが他を当たってくれ」
「そんな~、翔ちゃんじゃなきゃダメなんだってばぁ」
「だから翔ちゃんは止めろ」
「翔ちゃんお願~い、生徒が困ってるんだよ?手助けするのが教師なんじゃないの?」
相葉ちゃんがそう言うと櫻井は黙り込み「はぁ~」と大きく息を吐くと渋々といった感じで
「…わかったよ、30分だけだからな」
「ありがとう翔ちゃん、そう言ってくれると思ったよ」
相葉ちゃんがニコッと笑った。
「ほんとお前は昔から強引なんだから…」
櫻井が諦めたようにそう言うと
「ほんと翔ちゃんは昔から優しいんだから」
相葉ちゃんはそう言い返した。このふたりって昔からの知り合いだったのか。