第17章 メガネの向こう側
「たまにはさ人物画とかどう?大野あまり描かないだろ?」
人物ねぇ…確かに描かない、だって創作意欲を掻き立てられる人物なんていないんだ。
「描いてみなよ人物画…普段やらないことにチャレンジするの勉強にもなるし」
「ん~、でもモデルがなぁ…」
「モデルだったら取って置きの用意してあげるよ?」
「取って置きって言ったって今すぐには無理でしょ?」
話を聞いていたニノが突っ込んだ。
「いや、頼めばすぐに来て貰えると思う…優しい奴だから強めに頼まれると断れないんだよ」
「どうするの?智…」
「折角だから描いてみっかな…勉強にはなるだろうし」
「よし!善は急げだ!俺連れてくるから、ちょっと待ってて」
「連れてくる?そんな近くにいるの?」
「いるよ、だってこの学校の人間だもん」
「え~、この学校って男子校じゃん…モデルって女じゃないの?」
ニノが残念そうな声をあげた。
「違う、でもいいモデルだと思うよ?ついでに俺も久し振りに描こうかな」
「相葉ちゃん、絵描くの?」
「相葉先生な?二宮、お前俺が美術教師だってわかってる?」
「ははっ!そうでした…すっかり忘れてたよ」
「ほんと失礼な奴だな…まぁいいけど。
じゃあ行ってくるから待ってろよ?」
「うぃっす!」
俺が返事をすると相葉ちゃんは教室を出ていった。