第16章 sincerely
頭と身体を洗い上げるところまでは我慢した…ほんとはさ、一刻も早く翔に思いっきり触れたい。でも冬場は寒いから湯船に浸かるまでは堪えた。
翔を後ろから抱きしめ翔の身体に手を這わせる。たまにビクッと身体を跳ねさせるんだけど俺はペースを乱すことなく触り続けた。暫くすると翔が遠慮気味に俺を呼ぶ。
「さ、としさん…」
「ん?なに?」
「あ、の…」
躊躇いがちに言葉を発する翔…こんな弱く撫でられるだけじゃ刺激が足りないんだろ?たまに触れる胸の突起が存在感を増している。わざとそこを優しく指先で通過した。
「あっ!」
バシャンとお湯が跳ねる。
「どうした?」
翔の反応が可愛くて少し笑いながらそう尋ねると翔が振り返り少し拗ねたように睨んだ。
「智さんの意地悪…」
そんな表情するようになったんだ…まぁ、そんな可愛い目じゃ睨んでる内には入らないし、むしろ意地悪心を煽っちゃうだけなんだけどな。
「なにが意地悪?自分でオーダーしたんだよ?『ほどほどで』ってそれに応えてるのに俺が悪いの?」
「え…あ、それは、そうなんですけど…」
「俺は翔の言うこと聞いてるだけ、翔が言ってくれればなんでもするよ?」
再び胸の先をすっと指の平でかすった。
「あ、っん…も、や…」
潤んだ瞳ですがるように俺を見つめる。
「どうすればいいの?言って?」
「……ほどほどじゃなくていいです…」
「畏まりました」
ニコッと笑い掛け突起を摘まみ指の平でクリクリと撫でた。
「ふぁっ」
「気持ちいい?」
小さくコクンと頷くのを見て、片手を離し既に形を変えはじめた翔の中心を握り擦った。
「ほんとだ…ここ、もう硬くなってる」
「あっ…や、智さん…」
身を捩って逃げようとする。
「こら、今さら逃げるな」
「だって智さん恥ずかしいこと言うから…」
「ほんとのことだろ?今までだって散々しただろうが」
「でも、言葉にされると恥ずかしい…」
「注文が多いお客様だね。わかったよ、言わなきゃいいんだろ?」