第16章 sincerely
翔の部屋から戻りなんとか絵を仕上げることが出来た。この絵を見た翔がどう反応するか楽しみであり、若干不安でもある…喜んでくれればいいんだけど。
翌日、営業から帰ると廊下で翔とニノ、相葉それに岡田が話してる姿が見えた。
「なにしてんだ?みんなで集まって」
「あ~お帰り智、今みんなでお前の悪口言ってたとこ」
「は?なんでだよ」
「『なんでだよ⁉』その言葉そのまま返すわ!お前櫻井くんの誕生日なのにひとりにしたって!」
「岡田さん、だから違うって言ってるじゃないですか…日付が変わるときは一緒に居てくれました…ただその後家に帰っただけで」
「それがあり得ないって言うの!なんでそこまで一緒にいたのにその後ひとりにしたんだよ」
「だよねぇ…この人自分の誕生日の時は翔ちゃんのこと抱き潰してたのに」
「なんだと!羨ましい!なんて幸せな奴なんだ!」
「岡田さん、話ズレてます…でも好きですその正直な感想」
相葉、お前ほんといい奴なんだけどそんなとこ感心するなよ。
「翔行くぞ、早く仕事終わらせろ」
「あ、はい…それじゃ失礼します」
「櫻井くん、そんな冷たい奴ほっといて俺とお祝いしようよ」
立ち去ろうとする俺たちに岡田がそんなことを言いやがるから岡田の肩に肘を乗せ耳元で囁いた。
「悪いな岡田…今日はレストランで食事した後、昨日の分まで可愛がる予定なんだよ」
そう言って岡田から離れ歩き出すと翔が後ろを付いてきた。その背後から岡田の叫び声が聞こえる。
「狡いぞ大野!俺と代われ!」
声デケェよ…代われるか、バカ…
「岡田さんになんて言ったんですか?」
「今日の予定を伝えただけだよ」
「今日の予定?」
「そ、レストラン予約してあるから早く仕事終わせらせろよ?」
「え、あ、そうなんですね、ありがとうございます…でも、それだけで岡田さんあんなに大きな声で騒いだんですか?」
「岡田にしてみたらお前とふたりで食事出来るだけても羨ましいんだろ?」
ほんとはその後のことの方が羨ましいんだろうけどな。