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恋歌 《気象系BL》

第16章 sincerely


食事を済ませ船に乗って沖へ出た。天気もよく視界も良好…これだけでも十分楽しめるけど、やっぱりクジラにはお目にかかりたい。

「気持ちいいですね…」

柵に手を付き海を眺める翔。

「うん、これでクジラが拝めれば今回の旅行言うこと無しだな」

「ふふっ、俺はもう言うこと無しですけどね」

「なんで?クジラ見たいんだろ?」

「見たいですけど、でも智さんが俺の為に連れてきてくれたんですから…それだけで言うこと無しですよ。
それに昨日だけでも十分満足です」

「なに、昨夜そんなに良かった?」

からかい混じりにそう聞けば、恥ずかしそうに顔を赤らめ膨れっ面をした。

「違いますっ、昨日の島散策ですよ」

「ははっ、わかってるよ」

翔の背後に立ち翔を囲うように柵に手を付いた。

「…あの、智さん…この体勢って他の方から見たらおかしくないですか?」

「そうか?気にするなよ、誰も俺たちのことなんて見てないから…みんなクジラ探しに必死だし」

「でも…」

「いいんだってば、ここにいる間は周りは気にしないで過ごそう?誰も俺たちのこと知らないんだ、男同士のカップルって知られたって何の問題もないよ…それとも翔は恥ずかしい?俺が恋人なこと」

「いいえ、恥ずかしくなんてないです…ただ智さんがそういう目で見られちゃうと思って」

「まぁ、世間的には認められ辛いけどな。たとえ周りにバレたとしても俺は翔とならいいよ…今の俺には翔と離れるなんて考えられないから」

翔の腰に手を回し後ろから抱きしめた…翔の手が俺の手に重ねられた。

「はい…俺も智さんとならいいです」
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