第16章 sincerely
ホテルにチェックインし、夕食を摂ったところまでは元気だった翔…前日の寝不足と暫く振りの長時間運転に散歩と疲れが出たようで、部屋に戻り少しビールを飲んだら目がトロンとしはじめた。
「翔、眠い?」
そう声を掛けてやっても俺に気を使ってるのか首を横に振って笑顔を見せる。
「無理しなくていいから、眠いなら風呂入って寝ちゃいな?」
またまた首を横に振るけど、どう見たって眠いだろ?
眠さと戦ってる翔の姿は可愛らしくてこの場で押し倒したくなる衝動に駆られたけど、さすがに疲れ切ってる翔を抱くわけにいかないよな…今夜もまたお預けか。
そんな事を考えてたら翔が俺の肩に凭れ掛かって寝てしまっていた。だから言ったのに…疲れてるなら尚更ベッドで寝かせないと。
「翔、起きて?シャワーだけでも浴びてから寝なよ」
頭を撫でながらそう言うと
「ん、」
と返事なのかなんなのかわからない小さい声が聞こえたが起きる気配は全くない…しょうがないなぁ、ベッドに運こぶか。でも潮風にも当たってるし、相当歩いたから汗もかいてるだろうし、着替えさせないと…ついでに体も拭いてやろう。
翔をソファー上に横たわらせ、バスルームにタオルを濡らしに行くと広い浴槽があった…一緒に入りたかったな。今日はひとりで我慢するか…浴槽にお湯をはり着替えのパジャマを持って翔の元へと戻ると翔は微笑みを浮かべて眠っていた。どんな夢見てるんだろ…