第2章 jealousy
「雅紀と二宮さんに怒られますよ」
「ははっ、あのふたりには内緒な」
「ふふっ、はい…
でも、じゃあなんで侑李くんのこと受け入れられないんですか?」
「さっき言っただろ、他に好きな人がいるから」
「その人って侑李くんが生まれる前に出会った人なんですよね?」
「まぁ、そうだな」
「でも大野さん前に彼女いましたよね?」
「ああ、いたな」
「なんでその時は彼女と付き合ったのに、今回侑李くんとは付き合ってあげないんですか?
大体そんな子供の頃好きだった人を今でも本気で想い続けてるってあるんですか?
16年以上経ってるんでしょ?その間にその人に想いを伝えたりしなかったんですか?」
俺は疑問に思っていたことを一気に大野さんに聞いた。
大野さんは少し驚いたような顔をしたけど、ふっと表情を弛めると
「確かにその情報だけじゃワケわからないよな…
櫻井、もうひとつ大きな情報が抜けてるんだよ」
「もうひとつ?」
「…再会したんだ、その人に…
16年前に好きになった子に知らないうちに再会して、知らないうちにまた好きになった…
その事実を知ったとき、俺は奇跡だと思ったよ…
名前以外…名前だってあだ名しか知らなかったのに、同じ人を好きになってたんだ…
他の誰に告白されたって、応えられるわけないだろ…」
そう話す大野さんの顔が優しくて…
俺は胸が苦しくなった…
なんだろう…大野さんと侑李くんが腕を組んでた時も胸がモヤモヤしてたけど、今回のは比にならない…
大野さんがあんな表情するからだ…
俯いていたら、大野さんの手が俺の頬に触れた…
「櫻井…お前、なんで泣いてるの?」
「え?」
大野さんの指が俺の頬を伝う涙を拭った…
…なんで俺泣いてるの?