第15章 愛のかたまり
俺の両手を握ってた翔くんの手がほどかれその腕で抱き寄せられた。
「馬鹿だな…そんなこと考える必要ないのに」
「なんで?だって翔くん凄い人気者だったじゃん、俺なんかよりいい人なんていくらでもいた…」
「やっぱり馬鹿だよ智は…智よりいい人なんかいない、少なくとも俺にとっては智が最高にいい人だよ」
「翔くん…」
「人との繋がりって相性でしょ?他の人が『あの人いい人』って言ってもそれが万人に通用する訳じゃない…俺には智が最高に『いい相性』だと思った…智は違うの?俺と別れた後誰か違う人とすぐ付き合えるの?」
翔くん以外の人?そんなの考えたこともないよ…俺は首を横に振り、翔くんの体に抱きついた。
「そんなこと出来ないよ…」
「よかった…『うん』って言われたら俺へこんだわ~」
翔くんの腕に力が籠る。
「ごめんね、翔くん…今日ひとりでいたら寂しくなっちゃって、翔くんに早く会いたくて迎えに行ったらあんな光景見ちゃったから…」
「俺こそごめんな、寂しい思いさせちゃって…アイツのことはただの出来の悪い弟としか思ってないから」
「そんな、あの人に失礼だよ」
「だって事実だし…アイツは仕事仲間以外の何者でもない…俺にとって大切な人は智だけだよ」
翔くんの優しい声と共に優しいキスが落ちてきた。