第15章 愛のかたまり
俺の知らない翔くんの生活…さっき和くんも言ってたけど翔くんの周りには自然と人が集まる。皆から好かれる翔くん…好きになる人も多いのは当然なんだ。
なんで翔くんは俺を選んでくれたんだろう…聞いたことなかったな。俺よりも優れた人なんていくらでもいるだろうに…
「智?どうかした?ボーッとして」
翔くんと歩き出してから一言も発しない俺を不審に思ったのか覗き込むように俺の顔を見た。
「え、なんでもないよ」
「なんでもないって顔じゃないけど?」
翔くんの優しい瞳に見つめられ思わず俯いてしまった。
「智、隠し事は無しね?今日はクリスマスなのに智にそんな顔させたくない」
俺だって楽しみにしてたよ…でも俺のせいで他の人が哀しい想いをしてると思うとなんだか申し訳なくて。あの人だってもしかしたら俺より翔くんに相応しいかも知れないし…
「智…」
優しく呼び掛ける翔くんの声に顔を上げた。
「翔くん、俺でいいの?」
「なにが?」
「この先…翔くんの隣にいるのは俺でいいの?」
翔くんが驚いた顔をした。
「なに?どうしたの?いいに決まってるじゃん…智でいいって言うよりも智じゃなきゃ駄目なんだよ?」
わかってるんだ…翔くんはいつでも俺のこと大切にしてくれてる。でも初めてだったから…あんな目で睨まれたの…睨んでるのにその瞳が哀しそうで、睨まれてるこちらが苦しくなった。