第15章 愛のかたまり
ふたりと別れ益々翔くんに会いたくなった。
待ち合わせ場所はホテルのある駅だったけど、翔くんの会社まで迎えに行っちゃおうかな…翔くんに迷惑かな?でも、早く会いたい…
気が付けば電車に乗って翔くんの会社がある駅で降りてた。
会社の方に向かって歩いていると前から翔くんが歩いてくる姿が見えた。仕事早く終わったんだ。嬉しくなって走り寄ろうと思ったら翔くんの隣を歩く人の姿…俺は思わず立ち止まってしまった。
「さすが兄貴!助かりました」
満面の笑みで翔くんを見るその人…翔くんも笑ってその人の髪をくしゃくしゃとするように頭を撫でた。
「調子いいんだよ、お前は!せっかくの休日なのに呼び出しやがって」
「んじゃ、お詫びに何か奢りますよ」
「今日はいいよ、予定あるから」
そう言って前を向いた翔くんと目が合った。
「智⁉」
翔くんが嬉しそうに俺に駆け寄ってきた。
「なんで?迎えに来てくれたの?」
「あ、うん…ちょっと早く家出ちゃったから」
「そっか、ありがと…」
ニコッと笑う翔くんはほんとに嬉しそうで迎えに来て良かったな、って思ったんだけど…
「じゃあまた明日な、風磨」
翔くんが振り返りその人に挨拶をするとまた俺の方に振り向いた…俺もその人に軽く会釈をして立ち去ろうとしたらその人は俺のことを睨んだんだ。その瞳の意味は考えるまでもなかった…
あの人翔くんのこと好きなんだ…