第15章 愛のかたまり
「ごめんね、和くん」
そうだよね、和くん翔くんのこと好きだったんだよね。
「なんで大野さんが謝るの?」
「え、あ、なんとなく…」
そっか、俺が謝るのは可笑しいのか…でも翔くんのこと取っちゃったみたいな感じだし…
「翔ちゃんのこと横取りしたからとか思ってる?」
「…ん、少し、ね…
初めて会った頃、和くん俺のこと嫌いだったでしょ?」
「あ~、やっぱりバレてたかぁ」
和くんが可笑しそうに笑った。
「最初は思ってた…でもその気持ちはすぐ消えたよ…大野さんがいい人だってわかったし、多分その頃の俺は潤くんのこと既に好きになってたから…」
少し照れたように笑う和くん…
「良かった…あの頃さ、俺、翔くんが俺のこと好きだって知らなかったから…
理由はわからないけど和くんに嫌われてるなっていうのはわかってた。
後から翔くんに『大学入ってすぐ好きになった』って聞かされて、和くんのこと知らないうちに傷つけてたのかなって思ったんだよね」
「俺が翔ちゃん好きだったこと、はじめから知ってたの?」
「うん、だって翔くんのこと見る目が嬉しそうだったから」
「う~ん、俺にとって翔ちゃんはヒーローだったからなぁ」
「ヒーロー?」
「そう…俺と正反対で、明るくて頼り甲斐があって皆の人気者。
俺の中で高校時代までの翔ちゃんは、完璧だったんだよ。
翔ちゃんの周りって、自然と人が集まってさ、その相手するだけで翔ちゃん忙しくて…
それなのに大野さんにだけは違かったんだよね、他の人ほったらかして傍にいた」