第2章 jealousy
そう、あの時侑李くんは俺に『出会ったのは先』って言ったんだ…
何を言ってるのか分からなかったけど、さっきのふたりのやり取りを見て理解した。
「櫻井?」
不意に立ち止まった俺の様子を伺うように見る大野さん。
「疲れた?ごめんな連れ回して、ちょっと休むか…」
公園内の空いてるベンチを探し
「そこ座ってて」
と言いおいて、大野さんはどこかへ行ってしまった。
俺は頭の中を整理してた。
大野さんと侑李くんの会話からして、大野さんには好きな人がいる…
この前話した時、付き合ってる人はいないって言ってたから、大野さんの片想いなんだろう。
しかも、侑李くんより早く出会ってるって言ってた…
侑李くんは今高校1年で、生まれた時からの付き合い…それより前ってことは、16年以上前に出会った人を、大野さんは今でも想ってるってことなのか…
でも、そんな子供の頃の想いを、未だに引きずるってあるのかな…
前に彼女がいたって言ってたし…その時はその人を受け入れたんだよね…
てことは、昔の話は、侑李くんのことを断るための嘘?
根本的な話で、大野さんは男の人と付き合う気はないってことかな…
男同士を拒否すると、侑李くんを傷つけると思って、その為に嘘を付いたって考えれば納得出きるんだけど…
でも大野さん、洗いざらい話したって…
駄目だ…何が何だか分からなくなってきた。
「櫻井、大丈夫か?」
いつの間にが頭を抱えるように座っていた俺を、心配そうな目で見る大野さん。
「あぁ、すみません。大丈夫です」
「はい、コーヒーでよかった?」
そう言って、大野さんは缶コーヒー手渡してくれた。
「ありがとうございます」
大野さんが隣に座る
「ごめんな、折角付き合って貰ったのに嫌な思いさせて…」
「付き合って貰ったなんてそんな…映画奢ってくれたじゃないですか」
「それだって、俺が無理矢理付き合わせたようなもんだから」
「そんなとこないですよ
大野さんに誘ってもらって嬉しかったですし」