第15章 愛のかたまり
「こんにちは、大野さん」
「こんにちは、和くん」
「智さん、珍しいねひとりなんて」
「ん、翔くん仕事なんだよね」
「え?翔さんが?翔さんのことだから、今日は完璧に計画立ててると思ったのに」
さすが潤、よくお分かりで。
「計画は立ててくれたんだけどね、仕事で急に呼び出しがあって出掛けていったんだよ」
「うわ!マジで?翔さん可哀想…」
「それで大野さんひとりでいるんだ…
翔ちゃんも可哀想だけど、大野さんも寂しいでしょ?」
「そうだね…翔くんがゴネてた時は宥めてたけど、いざひとりとなったら家に居たくなくて外に出てきちゃった」
「それ翔ちゃん聞いたら、すぐに飛んで帰ってきそう」
「だね。だから翔くんには絶対言わない」
翔くんに愛されてるのは身に染みてわかってる、だから翔くんの重荷になるようなことは絶対言わない。
「え~、言ってあげればいいのに…
翔さん泣いて喜ぶよ?」
「だよねぇ、翔ちゃんデレデレの顔して喜ぶよね?」
「喜んでくるれだろうけど、仕事の邪魔はしたくないから…
翔くんはいつも俺の事最優先で考えてくれてる…
だからこそ俺は翔くんと一緒に居たいなんて我が儘言っちゃいけないんだよ」
「そっか、俺ら学生と違って働いてんだもんなぁ…
そんな簡単なことじゃないのか…
俺、翔さんに羨ましいって言ったことあるけど、大人は大人で大変なんだな」