第15章 愛のかたまり
翔くんが出掛けてしまったから俺も突然予定が無くなってしまった。
とりあえず洗濯と部屋の掃除するか…
……なんだろ、この部屋ってこんなに寒かったっけ…
いつもと変わらない部屋なのに、掃除をしたり洗濯をしたり体を動かして温まってるはずなのに
ひとりでいるこの空間が寂しくて…
なんだかんだ言っても俺も楽しみにしてたんだな、今日翔くんと一緒に過ごせるクリスマスを。
翔くんがいないこの部屋にひとりで居たくなくて、掃除を終えると外に出た。
さて、どこ行こう…
ひとりだと行くところも悩むなぁ。
あ、そうだ…来月は翔くんの誕生日、プレゼントの下見行こうかな。
電車に乗りフラフラと街中を歩く。
店先で気になった物を見ていたら不意によく知ってる香りが鼻先をかすめた…
翔くん?
後ろを振り返り周りを見渡すけど翔くんの姿はない。
当たり前か…今、仕事中だもんね…
翔くんと同じ香水使ってる人なんて世の中にいくらでもいるのに、反応するなんて馬鹿みたい。
自分でも『馬鹿みたい…』ってわかってるのに、たったそれだけの事で翔くんに会いたくなった。
でも、そんなこと仕事中の翔くんに言えるわけない…
翔くんの存在を少しでも感じたくて、大学の頃からふたりで良く行く喫茶店に向かった。
いつも座る窓際の席で、翔くんが好きなカフェラテを頼み飲んでいると、店に入ってきた二人組と目が合った。
ふたりは手を振りながら歩いてくると俺の向かい側に座った。