第15章 愛のかたまり
そう納得したのに…仕事が終わってから家に帰ってくるの大変だから外で待ち合わせしようと言ったらまたゴネ始めた。
「智ひとりで電車に乗せられないよ」
「何言ってんだよ、子供じゃないんだから」
俺の職場はこのマンションから歩いて行けるところにある。だから普段ひとりで電車に乗ることはほとんどない。
ふたりで同居するのを決めたとき翔くんが俺の職場の近くにするって言い張ってここに決めた。自分は電車で30分近く掛かって通勤するのに。
「だって、もし電車の中で寝ちゃったらどうするの?乗り過ごしちゃうよ?」
「大した距離じゃないでしょ?寝ないよそんな短い時間で、そんなに心配なら立ってるし」
「立ってて痴漢にあったらどうするんだよ?」
「合うわけないだろ?俺男だよ?」
「男でもいるんだって、現に俺も…」
「へっ?」
「あっ、いや、なんでもない…」
「もう、いいから早く行きなよ…どんどん時間過ぎてくよ?」
「うわ!マジで?わかった…行ってくる」
そう言って玄関に向かったのに最後の最後、ドアを出るまで心配していった。
はぁ~、心配してくれるのは嬉しいんだけどね…でも俺女の子じゃないし、なんだったら翔くんよりも力があるんじゃないかと思うんだけど。
翔くん筋肉あるくせに腕相撲で俺に勝てないし、重いものだって俺の方が楽に運べるんじゃない?
しかもさっき痴漢に合ったって言ってたよな…
俺より翔くんの方が絶対危険だと思うんだけど。