第2章 jealousy
「そんな取るつもりとかないよ
大野さんは会社の先輩だから一緒にいるだけだし…」
「だったら仕事以外で会わないでよ
なんで休みの日まで一緒にいるんだよ」
「大野さんが映画に誘ってくれたから…特に深い意味なんてないよ」
「じゃあさぁ、映画終わったんだからもう帰って貰っていいよね」
そう言うと来た道を戻っていった。
「さと兄、やっぱりさっき見てた新作のスニーカーにする」
大野さんの元へ笑顔で駆けていく。
「なんだよ、散々時間掛けやがって」
「ほら、立って行くよ」
侑李くんが大野さんの腕を取る。
「わかったよ…櫻井?どうした?」
「え?なんですか?」
「いや、表情が暗いから…」
「疲れたんじゃないの?櫻井さんもおじさんなんでしょ」
「お前は失礼なこと言うな」
大野さんが侑李くんを嗜めた。
「だって…」
「大野さん、侑李くんの言う通りです
俺ちょっと疲れたんで…先帰らせてもらいますね」
そう言って立ち去ろうとしたら、大野さんに腕を掴まれた。
「疲れたならここで座って待ってて
侑李の買い物済ませて来るから、その間休んでてよ」
有無を言わせぬ強い口調で言われ俺は頷くしかできなかった…
侑李くんが鋭い視線で俺を見る。
「ほら、早く行くぞ侑李」
そう促され侑李くんは大野さんの後を付いていった。
俺、ここにいていいのかな…
侑李くんが大野さんを好きだと言うけどその『好き』ってたぶん特別な意味の好きだよね…
じゃなきゃ俺の事あんなに敵視しないだろう…
自分より近くにいる人間が許せないんだ。
今までの人生であんな敵意剥き出しの視線を向けられたことなかった…
俺と大野さんなんて仕事上の付き合いなのに…侑李くんが気を揉むような間柄じゃないのに…
…そう考えれば考えるほど気持ちが落ち込んでいくのはなんでだろう…