第2章 jealousy
映画館を出ると、侑李くんはまた大野さんと腕を組んでいた。
俺、邪魔かな…映画も終わったし帰ろっかな…と思っていたら
「櫻井まだ時間大丈夫?」
「…大丈夫です」
大野さんに聞かれ迷ったけど大丈夫と言ってしまった。
誘ってもらってからずっと楽しみにしてたんだ、もう少し一緒にいてもいいよね…
「昨日、侑李に入学祝やるって約束しちゃったから、ついでに買ってやろうかと思って、なかなか会えないしな」
「やったね。何にしようかなぁ…すっごい迷う~」
「あんま高いの買ってやれないからな?」
「えー、そうなのぉ?」
「程ほどでお願いします」
「しょうがないなぁ」
「なんだよしょうがないって…買ってやらないぞ」
「ウソウソ、さ、行こう!」
侑李くんは嬉しそうに大野さんの腕を引っ張って歩いていく。
俺はその後をついていくしかなかった…
何件ものお店を回るが、なかなか買うものを決めない侑李くんに大野さんも疲れた様子で…
「侑李、いい加減決めてくんね?俺もう疲れたわ」
「えー、さと兄年寄りみたい」
「みたいじゃなくて、お前より年寄りなの」
「じゃあいいよ、さと兄休んでて?
櫻井さん、ちょっと付き合ってよ」
「え?俺でいいの?」
「うん」
今まで、一切俺の事を見なかった侑李くんに名指しされ戸惑ったが、仲良くなるきっかけになればいいと思ってついていくことにした。
大野さんをベンチに残し、ふたりで歩き出した。
大野さんが見えなくなるところまで来たら、侑李くんはピタッと足を止め俺を振り返る。
「単刀直入に言うね?あなた邪魔なんだよね。
僕さぁ、さと兄のこと好きなの。だからふたりきりにしてくれないかなぁ?」
「ごめん…俺、邪魔してるつもりなかったんだけど…」
「あなたの存在自体が邪魔なんだよね
僕より先に出会ってるかもしれないけどさぁ、一緒にいる時間は僕の方が長いんだから。
さと兄のこと取らないでよ!」
侑李くんが俺を睨みながら吐き捨てるように言った。