第2章 jealousy
「ほんとにお前はどこにいても声掛けられるんだな…」
大野さんがため息混じりで話す。
「すみません、よっぽど暇そうに見えたんでしょうね…」
「いや、違うから」
大野さんが苦笑した。
「ねぇ、さと兄早く行こうよ」
侑李くんが大野さんの腕を引く。
「あぁ、櫻井ごめん。侑李ついて来ちゃったんだ…
昨日、結局実家に泊まっちゃってさ
家出るときに見つかって、映画に行くって言ったら連れてけって離れなくって…
待ち合わせに遅れそうになったから、仕方なく連れてきた」
申し訳なさそうな顔をする大野さん。
「大丈夫ですよ。映画観るだけなんですから、何人で行っても同じです」
「悪いな…じゃあ行くか」
「はい」
って歩き出したけど、この前と同じで、侑李くんがずっと大野さんに話し掛けてて俺が入る隙がない…
楽しみにしてたんだけどなぁ…
「櫻井、侑李がホラー映画観たいって言うんだけど大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
普段あまり観ないけど、侑李くんが観たいならたまにはいいかぁ…
なんて思ってた俺は甘かった。
スクリーンに恐怖映像が流れるたびに、体がビクッと反応してしまう…
今さらだけど、俺ホラー得意じゃなかったんだ…
「悪かったな、櫻井
お前ホラー駄目だったんだ…」
大野さんが小声で聞いてきた。
ビクビクしている俺に気が付いたんだろう…
「え、あの、俺、自分でも苦手なの知らなかっんで、気にしないでください」
「ははっ、なんだそれ」
そう言うと膝に乗せていた俺の手に、大野さんの手が重ねられた。
「少しでも気が紛れるようにな?」
耳元で囁かれる声にドキッとした。
「…ありがとうございます…」
重ねられてる手と、顔が熱い…
心臓のドキドキが止まらないのは、映画のせい?