第13章 おいしいひととき
こんな風に考えてる翔さんを騙すように抱いちゃ駄目だよな。
「翔さんごめん、俺嘘ついた…」
翔さんが瞬間的に顔をあげ不安そうな顔をする。
「嘘?やっぱり俺のこと抱きたくない?」
「いやそうじゃなくて、さっき『俺のこと信じて』なんて言っちゃったけど、俺も男の人抱くの初めてだから正直上手く出来るかわからない…男同士って大変だって聞いてるから翔さんに辛い思いさせるかも…でも翔さんのことはほんとに好きだし、抱きたいと思う…だから翔さんが決めて?この先進むかどうか」
翔さんはほっとしたように息を吐いた。
「なんだ、良かった…潤くんに『からかっただけ』とか言われたらどうしようかと思った」
「なんでそんなこと思うの?」
「ほら、俺もさ気持ちが無くても抱いちゃったから…からかった訳じゃないけど気持ちが伴わないエッチも出来なくはないでしょ?だからエッチに対して少しトラウマがあるのかも」
あぁそっか…初体験にいい思い出がないから色んなこと考えちゃうんだ…だったら俺が変えてやるよ。
「翔さん、やっぱ俺が決める…翔さんのこと抱かせて?翔さんのこと大切にするから…好きな人と結ばれるって最高に幸せになれるんだよ?だから、翔さんに幸せ感じて貰えるように頑張るから抱かせてよ」
そう言って翔さんを抱きしめた。そしたら
「うん、俺も潤くんに抱いて貰いたい…」
小さな声で囁いて翔さんも抱きしめ返してくれた。