第13章 おいしいひととき
「でも何も用意してなかったな、ご飯作るまでどうしよっか」
翔さんが聞いてきたけど、疲れてる翔さんを外に連れ出したくはないし…そんな時目に入ってきたのは映画のDVD。観ようと思ってたのに見逃した映画のタイトルだった。
「翔さん、俺あれ観たい」
DVDを指差すと翔さんもそちらを見た。
「映画のDVD?」
「そう、これ観たかったのに行けなかったんだよ」
「そうなんだ、じゃ、これ観よっか」
「うん」
翔さんがDVDをセットしてソファーに戻ってきた。
あぁ、そっか、DVD観るとなると約2時間はこのまま隣りに座ってるんだ。大丈夫かなぁ…なんて心配してたけど、映画が始まってしまうとそちらに気を取られ翔さんが隣にいるのはそれほど意識せずに済んだ。
映画が終わると陽もだいぶ落ちてきていた。そして左肩に感じる重み。
「えっ?」
左側を見ると翔さんが俺に寄り掛かって眠っていた。
あ~、やっぱり疲れてるんじゃん。
薄暗い部屋の中、寝ている翔さんの顔は一段と幼く、そして可愛らしかった。そっと翔さんの頬に触れた。艶々の肌、そしてふっくらとした唇。
気が付くと引寄せられるように翔さんの唇に自分の唇を押し当ててた。
「んっ」
翔さんの小さな呻き声と共に薄く開かれる唇…
俺はそのまま舌を差し込んだ。