第13章 おいしいひととき
「だったらいいんだけど、じゃあすぐ終わらせちゃうね、翔さんは休んでて」
「…ありがと」
翔さんはソファーに座ると脚をソファーの上に乗せ腕で抱え込むように座った。
俺は急いで掃除を済ませると翔さんはさっきの姿勢から変わっていなかった。
「翔さん、掃除終わったから脚下ろしても大丈夫だよ」
「え、あ、うん…ありがと」
ボーッとしてたのか少し慌てたように脚を下ろした翔さん、やっぱり疲れてるのかな。
「どういたしまして、で、どうしようか、まだご飯作るには早いんだけど作っちゃう?そうすれば俺早めに帰れるし、食べるときにチンして貰えればいいから」
「え?帰っちゃうの?一緒にご飯食べてかないの?」
翔さんが寂しそうな顔をした。
「だって、翔さん疲れてるんじゃない?だったらさ俺ご飯用意して帰った方がゆっくり出来るかなって思ったから」
「疲れてないよ、せっかく一緒に作るんだから一緒に食べようよ」
「翔さんがいいならいいけど」
「いい!全然いいからここにいて」
『ここにいて』って、そんなすがるような目で言われたら勘違いしそうになる。翔さんは優しいから俺に気を使ってくれてるだけなのに。
「わかったよ、翔さん」
ほっとした様に息を吐き、いつものようにふわっとした笑顔を見せてくれた。
「よかった…」
翔さんが小さくそう呟いた。