第13章 おいしいひととき
翔さんとふたりで買ったものの仕訳をしていく
「これは冷蔵庫に入れといて」
「うん、これは?」
「それは常温で大丈夫だからどこか置いといて」
「わかった、それにしても凄い量買い込んだね」
「だって調味料もないだろうなって思ったから、味噌とかあった?」
「ううん、ない」
「でしょ?一から揃えるとこれくらいになっちゃうよ、しかも豚汁作るし」
「え?豚汁?うわぁ、俺超好きー」
満面の笑みを見せる翔さん、しかも『超好き』なんて…危うく『俺も~』って言いそうだったじゃねぇか。
店に来てた時も綺麗で憧れてたけど、私生活の可愛い翔さんを知ってから俺は確実にこの人に惚れてるんだなぁ、って思うよ。
「さて、コーヒー淹れるから潤くん座って待ってて」
「コーヒーは淹れられるんだ」
「むぅ、失礼だなぁ…コーヒーは毎朝淹れてるから出来るよ」
『むぅ』と突き出した唇がふっくらとして艶っぽくって触れたくなる。
「潤くん?」
ヤバい、また翔さんに見とれてしまった…どうしよう…そうか、翔さんを見ないようにすれば良いんだ。
俺は翔さんから目を逸らしリビングに移動した。
キッチンからはコーヒーのいい香りが流れてくる。
翔さんから離れれば翔さんを意識しないかと思ったけどひとりで座っていると普段翔さんがこの部屋で生活してる姿を思い浮かべドキドキしてしまった。
駄目だ、何してても翔さんの事しか考えられなくなってる。