第13章 おいしいひととき
翔さんに教えるのは基本的な事だけ…全くの素人にあれこれ教えられないからまずは味噌汁からだな。
美味しい味噌汁ひとつあるだけで食事が変わるからな。
包丁使う練習も出来るし、野菜も取れるから今日は豚汁にしよう。後は俺が何か作って食べさせてあげればいいよな。
恐らく調味料すら揃ってない翔さんのキッチン、必要な物を全部買い揃え翔さん家に向かう。
翔さんに『今から行くよ』とLINEを送ればすぐに『待ってるね』と返信が届く。その返信の早さに翔さんも楽しみにしてくれてるのかなぁ、なんて嬉しくなった。
俺の期待は当たったようで、翔さんのマンションに近づくと俺に向かって走ってくる人影が見えた。
「わぁ~凄い荷物、迎えに行けば良かったね」
俺の両手に持ってる荷物を見て驚いてる翔さんは私服のせいかいつもよりずっと若く見えた。
俺の手から荷物を受けとり
「重かったでしょ?」
って、上目使いに見られ固まる俺…ヤバい、想像していた以上に理性を保つのが大変そうだ。
「潤くん?どうしたの?部屋行こう、買い物疲れたでしょ?コーヒー入れるから飲んでひと休みして?」
そう言って微笑む翔さんの顔もいつもより可愛らしく見えてしまうのは何故だろう。