第13章 おいしいひととき
「あ、あの、潤くん…」
翔さんの声が聞こえ翔さんの顔を見ると頬がピンクに染まっていた。
「あの…自分で出来るから…」
恥ずかしそうに俯く翔さん。
「あ、ごめん…風邪引いちゃうかなって思ったから、つい…」
慌てて翔さんから離れた。
「うん、ありがと…」
「あ、じゃあ、メシ食べてて…俺洗濯機回してくるから」
「え!いいよ、そこまでしなくても…洗濯ぐらい自分で…」
「出来てないじゃん、こんなにあるんだよ?」
翔さんが言い切る前に俺は部屋で集めた洋服を持ち上げた。
「…はい、すみません」
「じゃあ行ってきます」
俺は脱衣所に置いてある洗濯機に洗濯物を突っ込んでスイッチを押した。洗濯機だって全自動の良いやつ使ってるんじゃん、スイッチ入れるだけでいいのに…それだけ疲れてるって事なのかな…
リビングに戻ると翔さんはお弁当を食べていた。
「はりはとぉ」
相変わらず口いっぱいに頬ばって美味しそうに食べてる翔さん。
「翔さんって食べるの好きだよねぇ」
「うん、大将の料理って懐かしい味なんだよね…母親思い出すっていうかさ…だから余計に好きなのかも」
「そっか…翔さん自分で料理出来ないもんな」
「少し親に習っておけば良かったよ、勉強ばっかしてたからそんな余裕なかった…」