第13章 おいしいひととき
「謝らなくていいよ?でもさ、俺に迷惑掛けてるとかは思わないで?俺から申し出たことなんだから」
「うん、ありがと」
感謝の言葉と共に見せてくれるあなたの綺麗な笑顔が俺には最高の報酬だから。
「はい、じゃあこれお弁当…大将が多目に入れといたから残ったら冷蔵庫に入れて明日の朝にでも食べてって」
「うわっ、マジで?大将にお礼言っといてくれる?仕事落ち着いたら改めてお礼しに行くから」
「うん、わかった」
「弁当代、いくら?」
「あ~、500円で良いって」
「え?そんな安いわけないじゃん、駄目だよちゃんと払うから」
「残ったもの詰めてるだけだからいいんだって…ほんとはタダでも良いって言ってたんだけどさ、流石にそれは翔さんが気を使うだろうから500円は貰うって」
「当たり前だよそんなの…わかった大将のご厚意はありがたく受けとるよ、ほんとにありがとうございます、って大将にちゃんと伝えてね」
「うん、ちゃんと伝えるよ」
翔さんは500円を俺の手のひらに乗せ、俺は翔さんに弁当を渡した。
「で、潤くんには何をお礼すればいい?」
「え?俺?俺はいいよ、さっきも言ったけど俺が勝手に始めたことなんだから」
「そういう訳にはいかないでしょ?何かして欲しいことない?欲しいものとか」
俺が欲しいのはあなただよ…なんて言えないし。
「あ、じゃあさ、翔さんの家行きたい」
「俺の家?見てもしょうがないと思うけど…」
「いいのいいの、エリート商社マンの家見てみたいんだよ、良いところ住んでるんでしょ?」
「そんなことないよ、1LDKだし散らかってるし」
「それでもいいよ、すぐに帰るからちょっとだけ見せて?」
「ん~、わかった…」
あまり乗り気じゃない翔さん、その理由は家に入ってすぐにわかった。