第12章 gift
マンションに帰る途中スーパーに寄ろうと思ったのに智さんが家にあるものでなんとかするって言ったけど、せっかくの誕生日なのにいいのかな?そんな簡単な物で。
そりゃ、あんまり凝ったものは作れないよ?でも材料が揃ってなくちゃそれこそ何も出来ないんだけど…
なんでそんなに急ぐんだろ?いっぱい歩いたからお腹すいちゃったのかな。限界って言ってたし。だったらどこかで食べてきちゃった方が良かったんじゃないのかな?
マンションに着いたからとりあえず荷物を置いて着替えをしようと思ったのに
「着替えはしなくていいから荷物だけ置いてこいよ」
「でも、もう家の中ですよ?女装しなくてもよくないですか?」
「せっかくだからもうちょっと楽しませて?」
「わかりました…」
智さん、やっぱり女の人がいいのかな…そんなことないよね、俺だけだって言ってくれたんだから…駄目だ、もっと智さんのこと信用しないと。
部屋に戻り荷物を置くと用意しておいた智さんへのプレゼントとワインを持って智さんの部屋へ向かった。
「ただいま…」
玄関を入ると既にいい臭いがしていた。
急いでキッチンへ行くと智さんが料理をしてて
「やっぱりお腹空いてたんですか?」
「いや、何で?」
「だって、俺頑張るって言ったのに智さん作ってるから」
「あぁ、ごめん…翔の手料理はいつでも食べられるじゃん、だから早く食べて翔に頑張って貰おうかなと思ってさ」
「?智さんが作っちゃったら俺頑張れないですよね?」
「そんなことないよ…あ、ほらお湯沸いたからパスタ茹でて」
「あぁ、はい!」
まあ片付け頑張ればいいか。
智さんが作ってくれたシーフードパスタと野菜が残ってたからサラダを用意して俺が持ってきたワインで乾杯した。