第12章 gift
「何だかんだからかわれるけどさ、あのふたりに感謝だな」
「そうですね、雅紀に相談しなかったら今日のデートは無かった…ほんとにあのふたりがいてくれて良かった」
「世間には認められないかもしれないけどさ、近くに認めてくれて、味方してくれる人たちがいるってありがたい事だよな」
「はい…」
ほんとにわかり合える人との繋がりってありがたい。
「そろそろ帰るか」
「はい」
駅に向かって歩いていく途中でキラキラと輝くイルミネーションが見えてきた。
「綺麗…」
「後一ヶ月でクリスマスだもんな」
「そうですね…」
色鮮やかに光るライトが夜の街を彩る。立ち止まってぼーっと見とれていたら智さんの視線を感じた。
ふと横を見ると智さんがこちらを見ていて
「どうしたんですか?」
「いや…綺麗だな、と思って」
俺に向かって優しく微笑みかける。
「ですよね…」
「翔の瞳…キラキラしてて綺麗」
じっと見つめられそんなセリフを言われると恥ずかしくて言葉が出てこない…視線を下に逸らすと突然唇に智さんの唇が一瞬触れた。
「さ、としさん…ここ、外…」
「大丈夫だよ、誰も見てないし見てたとしてもただのバカップルだと思われて終わりだから」
そう言われてもドキドキが止まらない…
「翔、もう限界…早く家帰ろう?」
「疲れちゃいました?お祝いにどこか外で食事しようと思ってたんですけど」
「疲れてはないけど家でゆっくり食べたい」
「わかりました、じゃあ今日は俺が頑張りますね?」
「へー、そりゃ楽しみだな」
ニコニコ笑う智さん。
「馬鹿にしてます?俺だって頑張れば何とかなりますよ?」
「馬鹿になんかしてないよ、翔が頑張ってくれるって言うから楽しみだなぁ、って思ったの」
「誕生日ですからね、それくらいはさせて貰います」
「うん、期待してる…」