第12章 gift
「次はどこ行く?どこか行きたいとこある?」
「暫く買い物してないから少しお店見ていいですか?冬物の服少し欲しいかなって」
「そういえば俺も暫く買ってないな、よし行くか」
「はい」
ブラブラとあちこちの店を覗いて歩いた。
歩き続けて体が温まってたせいか智さんと腕を組むのを止めてしまい気がついたら智さんを見失ってしまった。
「あれ?智さん?」
辺りを見回すけど智さんが見つからなくてキョロキョロしていたら突然声を掛けられた。
「どうしたの~?何かお探し~?」
「一緒に探してあげようか~?」
いかにも軽そうなふたり組。
「いえ、大丈夫です」
急いでその場を離れようとしたけど腕を掴まれ引き戻された。
「なんだよ、親切に声かけてやったんだろ?少し付き合えよ」
「止めてください!」
「こんな所でひとりでいるなんてさぁ、ナンパされるの待ってたんでしょ?」
「こんな綺麗な子ならいくらでも声掛けてあげるよ~」
「違います!離して!」
掴んでる男の腕を振りほどこうとしていたら溜め息が聞こえるのと同時に俺の後ろから腕が伸びてきて男の腕を掴んだ。
「お前はまたぁ…すいません、これ俺のツレなんで離して貰えます?」
「は?何言ってんの?あんたのツレだって証拠ないでしょ?あんたこそいいところ見せて彼女ナンパする気なんじゃん?」
「あのねぇ、こいつは元々俺のなの…どちらにしても嫌がってんだろ離してくれる?」
智さんの声のトーンがいつもより低くなった。
「イテッ!ちょ、手離せよ!」
「そっちが先にその汚い手離せよ…」
智さんの声がどんどん低く冷たくなっていく。
「痛いって!わかったから離せ!」
男の手が俺の腕から離れた。
「ったく、紛らわしいんだよ!声掛けられたくなかったらひとりでいるんじゃねぇ!」
「行くぞ!」
ふたり組は立ち去って行った。
「…ごめんなさい」
「お前が謝る必要はないよ、俺が目離したのが悪かったんだ…最近無かったから忘れてた、お前がナンパされやすいの」