第12章 gift
注文したパンケーキが運ばれてきた。
智さんのは一番シンプルなタイプ、俺のはフルーツとクリームでデコレーションされてるもの。
「いただきます」
一口大に切ってクリームをたっぷりのせ口に入れる。
「スッゴいクリームの量だな、胸焼けしそう…」
「う~ん、おいし~…智さんも食べてみます?クリームもしつこくないし美味しいですよ?」
「そうか?じゃあ一口貰おうかな」
「はい、どうぞ」
智さんの口の前に差し出すと智さんはパクっと食べてニコっと笑った。
「ね?美味しいでしょ?」
「翔が食べさせてくれるならなんでも旨いよ」
そういえば…つい食べさせちゃった。智さんがニコニコと笑ってる。
「そういう事じゃなくて…」
「ふふ、顔紅いぞ?やってから照れるなよ…どうせお前の事だから無意識にやったんだろ」
「わかってるなら言わないでください」
恥ずかしさを隠すのにパンケーキを食べ続けた。
「だってお前に食べさせて貰うのなんて初めてじゃん、嬉しくてついな…」
ふいに伸びてきた智さんの人差し指が俺の口許を撫でる。
「ほら、クリームついてるぞ?」
「あ、ごめんなさい」
おしぼりで拭こうと思ったら智さんはそのまま指を舐めてしまった。
「うん、これも旨い!」
「そんなの舐めないでください」
「え~、だって勿体ないじゃん」
「そうですけど…」
なんか恥ずかしい…でも男女だったら普通なのか…せっかくだからこんな事も楽しんだ方がいいのかな。
「指じゃなくて直接舌で舐め取ってあげた方がよかった?」
智さんが急に男の顔をするからドキンとした。
「ははっ、そんな顔紅くしなくてもさすがにここじゃやらないよ」
「わ、わかってます…」
ほんとはちょっと想像しちゃったけどそんなこと恥ずかしくて言えない。