第12章 gift
「智さんて、何だかんだ言って岡田さんの事好きですよね?」
「何でだよ」
「写真撮らせてあげたじゃないですか、岡田さんバラす気ないのわかってるでしょ?」
「まあ、なんだ、可愛い翔独り占めしても悪いしな」
「ふふっ、俺は独り占めされたいですけどね」
「またお前は~、今は外なんだからな?そういう事言うなよ」
智さんが眉毛を下げて困ったような表情で俺を見た…なんでだろ?
「今日は外デート楽しみたいんだから、これ以上俺のこと煽るなよ?」
「ん~、わからないけど、わかりました」
智さんは『はぁ~っ』と息を吐いて苦笑いした。
「お前の可愛さは時として罪だよな…」
「え、俺何か悪いことしましたか?」
「いや、してない…さ、パンケーキ食べに行こ?食べたかったんだろ?」
「覚えててくれたんですか?」
前にテレビでパンケーキ屋さんが取り上げられてて、その時ポツッと『おいしそ~』って呟いただけなのにちゃんと聞いててくれたんだ。
男同士じゃ智さんが行きづらいかなって思って言わなかったのに。
「もちろん…翔の言うことは何でもちゃんと聞いてるよ」
「ありがとうございます…」
「どうせなら女の子と行った方が周りの目気にしないでいいだろ?落ち着いて食べられる」
「そうですね、そういう意味でも女装でデートっていいかも」
「そうそう店入ったら『俺』じゃなく『私』な?」
「あ!そうですね、気を付けます」
そんなやり取りをしていた俺たちの予想を裏切り、なぜか食事をしていても他のお客さんからの視線を感じる。
「参ったな…ここまでとは…」
「え?どういう事ですか?」
「みんなお前の事見てるんだよ」
「やっぱりおかしいですか?」
「逆だよ、可愛いいから見てんの」
「まさか、そんな事ないですよ」
「そんな事あんだよ…まあいいや、気分いいし」
智さんが嬉しそうに微笑んだ。